父のもつ煮

久しぶりにもつを煮てみた。
もつの煮込みは父の大得意料理。
都内で生活していた父。
私たちが遊びに行くとき、
いつも鍋いっぱいにもつ煮を用意しておいてくれた。
美味しくって、
鍋が空になるまで夢中で食べ続けた。
良き思い出。
父は3日間煮込むといっていた。
私たちが来る前から買い物し、下茹でし、野菜を切り、
ことこと煮込んでいたんだなあ。
父が他界し、私は見よう見まねでもつを煮るようになった。
レシピを聞いていなかったことを後悔したりもした。
自分で作るようになって・・・
父の心からの歓迎の気持ちを感じ、
私たちへの愛情を受け取ることができた。
そんな気がする。
人間はいつだって気づくのが少し遅い。
目に見えて相手が存在しているとなおさら。
甘えているつもりはなくても、
実は心の底ではその人が存在してくれている
そのこと自体に甘えていたりするものである。
自分にとって、その存在があまりにも当たり前すぎて、
その存在のありがたみを感じとることが出来ないのである。
まだまだ父のもつ煮込みまでは道のりは長い。
でも作るたびに少しずつ少しずつ近づけている
かな?
そんな気がしている。
父はそんな試行錯誤している私を笑いながら見守ってくれているだろう。
お父さん
美味しいもつの煮込み
私たちに教えてくれて
おなかいっぱい食べさせてくれて
ありがとう。

 

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