リリイとわたしたちの12日間 ~旅立ち~

 

夕方

約束通り散歩を終え

リリイの容態は急変

 

リリイのいつもいる場所に急いで運び込む

 

そこには今まで気づかなかったものが

落ちていた

 

 

この星をみつけたとき

 

「ああ リリイは今日逝くんだな」とわかった

 

この感覚は間違いない

 

もうすぐそこに

リリイの旅立ちがあることを直感的に感じていた

 

いつもはまだ家族全員が揃わない時間

 

リリイの息苦しさは次第に増していった

 

あきみ姉との約束を果たし

「逝ってよいとき」を待っていたかのようだった

 

家族みんながリリイのそばでリリイを見守っていた

 

手や足 身体をさすり

声をかけ

伝えたいこと

たくさんたくさん伝えることができた

 

もう充分過ぎるほどの時間

 

つらそうで苦しそうで

わたしたちもみていて

つらくて苦しい

 

早くこの苦しみから解放してあげたい

 

そう強く願っていた

 

リリイはあきみがなくなってから

ずっとそばにいてくれた家族

 

人間のように悲しみを表現することはできないけれど

リリイもまたあきみという大切な家族を失い

同じように悲しんでいただろう

 

ずっとわたしたちのそばにいて

いつも通りの散歩・生活をさせてくれ

慰めたり励ましたりしてくれていた

 

今ではそれがわかる

 

そのときは自分たちが生きること

それだけで必死だった

 

大切な存在をまたひとり

失おうとしているわたしたちに対し

リリイは何を思っているのか?

 

自分が逝くことでまた家族が悲しむ

そんな不安な気持ちなのか?心配だった

 

見えなくなるのは寂しいよ

でもね 大丈夫

姿はなくても心はいつもそばにあること

 

あきみに教えてもらってる

 

わたしたち

3年前よりもだいぶ強くなってるよ

 

だからもういいよ

わたしたち大丈夫だよ

リリイ

 

わたしたちはリリイに

そう声をかけた

 

リリイは頑張って頑張って・・・

 

わたしたちが見守るなか

13年と一カ月

という一生に幕を閉じた

 

その姿はとても美しく

誇りに満ちた犬の最期として

わたしたちの心に深く刻まれた

 

 

リリイありがとう

おつかれさま

楽しかったよ

 

 

 

 

 

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