自分でえらぶ

同じ日。
あきみ姉は学校で『いのちの教室』という授業を受けた。
こちらも横浜の被害者支援室から警察や被害者支援にあたられている方がみえ、
生徒たちに話をしてくれた、という。
内容は
交通事故で一命をとりとめた男子がリハビリをして歩けるようになるのだが、
以前のようにうまく歩けないことからいじめにあい、
その執拗ないじめによって命を奪われてしまう、という話。(実話)
男子のつらさ、家族の苦悩、様々な苦しみ・・・
私は話を聞いただけでこころが苦しくなった。
なぜそんなことが起きるのか?
どうしても理解できない。
授業では映像をみたという。
その後、いのちの大切さについて、
支援室の方から話を聞いたそうだ。
授業の様子を聞いているうちに
あきみ姉の心がとても心配になった。
本人の口からは
「映像を見ているときはやはりつらかった」と。
実際に自らが家族を失うという経験をしているので
ほかの生徒より多くのことを感じ取ってしまう。
まるで自分のことのように想像できてしまう。
必死で涙をこらえた、と話してくれた。
「頑張ったね」と言葉をかけた。
授業を受けての感想を作文にしたらしく、
そのなかにあきみのことを書いた、と話してくれた。
あきみ姉は自らの意志で県立の中高一貫校に通っている。
あきみが事故にあったのが
あきみ姉がちょうど小学校卒業前だった。
その後、すぐ入学し、中学校生活が始まった。
地元の中学ではないので 
中学入学から新しい人間関係がスタートした。
あきみ姉が初めに不安に思っていたこと。
それは
「友だちに家族のことを聞かれたら なんて話したらいいの?」
だった。
私はなんて答えたらよいのか?
正直わからなかった。
どうしたらよいのか?わからず
親子で途方に暮れ 
涙を流したのを思い出す。
人と人が関係を築くとき、
相手は本人含めたその環境も知りたくなる。
仲良くなるためには必要なことだから。
初対面の人にあきみを失ったことを伝えるのはとても躊躇する。
まず相手をびっくりさせるであろうことが容易に想像できるから。
どう考えても現実的とはいえないショックな情報を示したとき、
人は拒否反応を示したり、同情したり、様々な感情を抱く。
そうするとその後、その人と対等の関係を結ぶのが難しくなってくる。
あきみを失ったことがあきみ姉のすべてではないにも関わらず、
そのことなくしてあきみ姉のことを見れなくなってしまう可能性が高い。
私たちはそうなってしまうことを望まなかった。
それらを案じ
よくよく話し合って
今は「4歳下に弟がいる」ということだけ伝えたらいいんじゃないか?
ということになった。
ずっとそうしてきた。
いつか
話したいと思える人が現れたら
そのことも含めて自分を受け入れてくれる人が現れたら
そのときは話してみよう、と。
今回 いのちの授業を受けて
感じたことを作文にするとき、
あきみのことを書かないのは不自然だ。
あきみ姉のこころがそう感じた、という。
だから書いた、と。
その作文が選ばれ、
何人かの生徒のものとコンクールに出展されることになったとき、
あきみ姉は再び考えた。
まだ個人的にあきみのことを学校の誰にも言っていない。
それなのに冊子に載って知られるという進みは嫌だ。と。
2年たった現時点で
提出する作文に嘘偽りなく、あきみのことを書けたのだ。 
そのこと自体が素晴らしいこころの進歩だと感じるし、
今はまだそれ以上のことはしなくていい。
そう感じ、あきみ姉には辞退することをすすめた。
あきみ姉も自身のこころの進みが健全であることを
素直に感じている。
みんなにはまだ話せていないけど、
自分のこころの中にはいつもあきみがいる。
それだけで充分。
そのことに喜びを感じながら
日々を精一杯生きている。
自分の背負っているものを少しずつ開示していく。
いつか全部話せる その日が必ず来る。
そのときまで
自らのこころを一番に考え
自らの意志で
自らが納得して
その時々、与えられた状況を真剣に考え
悩み・選んでいってほしい。
今回
あきみ姉が自分のこころを大切にする選択をすることができて
本当によかった。
小さなことだけれど
ひとつひとつ
自分のこころと相談しながらクリアしていく。
この積み重ねがとても大事。
自らの気持ちをごまかさず
自らのこころに正直に
無理をせず
少しずつでいいから
しっかりと前に進んでいきたい。
いつにも増して
真剣に家族で語り合う良い機会となった。
私たち家族にとって
あきみという存在が誇りであるように
あきみにとっても
私たち家族が誇りでありますように
いつ どんなときも
そのことを胸に
あきみの家族として
それぞれが一生懸命 
生きていきたい
あきみがかならず
みていてくれるから・・・
 

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